<就活生さん>

僕がコロッケ屋さんを引っ越した先は、学生さんが多く住んでいる地域でした。駅の反対側に大学があったことも関係していると思いますが、アパートが幾つもあり学生さんが多く住んでいました。

学生さんたちにとって小さなコロッケ屋さんは親しみやすい感じがするようで、多くの学生さんが買いに来てくれました。中には、帰省したときに地元の名産を持って来てくれる人もいまして、学生さんの優しさを感じたりもしていました。

今の時代の就活は超売り手市場ですので学生さんは就活で困ることはあまりない状況です。強いて困る状況と言いますと、「どこに行っていいか迷う」ことくらいです。それに比べて当時の就活生は今の状況とは反対に学生側が必死に活動をしなければ採用が決まらない状況でした。普通の感覚で言いますと、それが就職活動の一般的な状況だと思いますが、試験を受ける側である学生さんからしてみますと大変でしかありません。

ある日、たまに買いに来る女子学生がお金を払ったあとに話しかけてきました。
「今、就職活動しているんですけど、なかなか決まらなくて…」
たぶん、誰かに話さずにはいられない心理状態だったのでしょう。僕は女子学生が話の続きをしやすいような言葉を返しますと、就職面接で体験した悔しいことや反省したことなどを話してきました。

自分の経験からしますと、学生という立場は他人から否定されたり厳しい対応をされたりしない身分です。ですから、生まれて初めて他人から自分という人間を評価されることになります。まずその立場にショックを受けます。当然です。それまで経験がないのですからそのショックたるや激しいものがあるでしょう。

女子学生さんは次のお客様が来るまで10分くらいですが、ずっと話続けていました。しかし、帰るときには気分も落ち着いたのかスッキリした表情になっていましたので、僕が少しは役に立ったようです。

人間はストレスを感じたり落ち込んでいるときは、誰かに話すだけでストレスや落ち込むを和らげることができます。そうした相手がいることはストレスに打つかつために重要です。

当時、就活生の間で話題になっていたのが圧迫面接という手法です。学生にわざと意地の悪い質問をしたり厳しい言葉を浴びせたり、威圧的な態度をとって学生の対応能力をみる手法ですが、ほぼほとんどの学生が落ち込みます。

しかし、僕からしますと圧迫面接をするような会社は受験する側からお断りするべきです。圧迫面接は学生のストレス耐性とか打たれ強さを計るものですが、これは反対に考えますと「自社は社員にストレスを与えて厳しい姿勢で臨む厳しい会社です」と告白しているようなものです。今風に言うならブラック企業以外のなにものでもありません。このような企業に入社しても2~3年で辞めるのがオチです。

学生さんは社会経験もありませんし就職事情もわからないうえに、就職活動という大きな渦に入ってしまいますと、周りが全く見えなくなります。採用の二文字をもらうことに必死で善悪の判断も、良否の判断もできなくなるものです。

そして、さらに困るのは学生さんにとって頼りになるべき親という存在も就職に関してはほとんど無知なことです。さらに突っ込んで言うなら、学校の就職活動をサポートする機関も大して変わらないことです。

学校の就職活動をサポートする機関というのは、サポートするための機関ですがそこで働いている人たちというのは就活の経験がない人がほとんどです。ですから、親身なることはできても実際に役に立つサポートを期待するのは難しいものがあります。

大学ではなく高卒での就職活動はその傾向がさらに強いものがあります。高校の先生こそ一般の会社の就職活動および就職状況を経験していない人が多いので実際のところは知らないケースが多くあります。

例えば、高校の先生が勧める就職先は企業の担当者がその先生になにかしらのメリットを与えた結果ということもあります。就職活動の学生はそうしたことも念頭に置いて就職活動を考えることが大切です。

現在、就活中の学生さんも今超売り手市場と思って世の中を甘くみてはいけません。入社するときに環境がいいということは、入社したあとに大変なことが多く待っている可能性が高いことでもあるからです。くれぐれも油断しないように身を引き締めて社会人になりましょう。

また来週。

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