<僕のことを「変わった人」と思っていた人>




スーパーという職場は基本的に食品部門の従業員が多いのが普通です。そして、大きな店舗になればなるほど部門間の交流はあまりありません。人間というのは不思議なもので排他主義と言いますと言い過ぎかもしれませんが、同じ境遇の人同士で仲間うちを作ろうとする性質があるからです。

僕は衣料部門で働いていたわけですが、衣料部門は人数が少ないのが普通です。余程大型店舗でもない限り、同期の人は一人か二人ということになります。僕はスーパーに3年間勤めていましたが、結局職場で同期の人と一緒に働いたのはすべて合わせても2~3人しかいませんでした。衣料部門に配属される人数自体が少ないのですから、結果的にそのようになってしまいます。

最初のお店で同期だった人は雑貨部門にいたSさんでした。Sさんは新卒であるにも関わらず頭部だけはベテランでした。ですが、明るく楽しい人で僕の冗談をうまく受けてくれる人でした。部門が違いましたので話す機会はあまりありませんでしたが、相性が良かった印象があります。

2番めのお店で初めて衣料品部門で同期の人と一緒に働くようになりました。O(オー)さんという人で紳士服売り場に配属されていましたが、今でいうところの中々のイケメンでした。睫毛が長く目元がくっきりとしていて身長も高く洋服のセンスもあか抜けた感じがしていました。紳士服売り場にピッタリの人という感じです。

あとでOさんから言われたことですが、僕が異動して来た際に開かれた歓送迎会の振る舞いに驚いたそうです。僕は若い頃、「笑いをとることが一番」と考えている部分がありましたので歓送迎会でもその部分を如何なく発揮していました。悪く言いますと、ほかの人の迷惑を考えることなく「受け狙い」でいろいろなパフォーマンスをしていました。ですから、人によっては僕のような人は嫌いなタイプということもあるようです。

一応、このように自覚はしていますが、表立って毛嫌いするような接し方をされたことはありません。どちらかと言いますと「面白い奴」という印象を与えていたように思います。O君も僕のことをそのように思ってくれていたようでたまにお昼時間が一緒になったときに誘いに来てくれていました。

やはり同期の人間同士が二人きりで話しますと、お互いの上司の話になります。僕はその当時は上司と一緒に麻雀をするほど親しい関係でいましたが、Oさんはそうでもないようでした。Oさんの上司は30才くらいでやせぎすのものごとを論理的に考えるタイプの人のようでした。

先週書きましたように僕のスーパーには転職組が多いのですが、その上司はウチの会社よりも大規模な全国的展開をしているスーパーからの転職組でした。噂では、北海道に転勤するのが嫌で転職してきたそうです。

Oさんは上司と接する際にいろいろと気を使っていることを話していました。例えば、この上司は競馬が好きなのだそうですが、競馬になど本当は全く興味がないのですが、上司との関係をスムーズにするために競馬について勉強したり、株についても同様で上司が株をやっているので話し相手になる程度に勉強しているようなことを話していました。つまりは、自分の行動を上司に合わせていることになります。

実は、僕はそういうのが苦手で上司の趣味であろうがなんだろうが、自分が興味を持てないことには全く関心を示さないタイプの人間でした。ですから、上司に合わせて行動をとろうと思ったことがありません。そのときの上司とはたまたま麻雀という同じ趣味があっただけで、実際それ以外では一緒に行動をすることはありませんでした。仕事を離れたなら上司と部下の関係を維持する必要がないと思っているからです。

話はそれますが、前回「ドラマに出てきそうなサラリーマン」で書いた上司はプライベートでも部下を使おうとするタイプの人でした。実は、この上司が引越しをするときに部下の何人かに応援を頼んでいるのですが、僕には声をかけてきませんでした。理由は、僕が最初から「声をかけるなオーラ」を発していたからです。プライベートに仕事の上下関係を持ち込むのは「冗談じゃねぇ!」というのが僕のポリシーです。

O君と一緒にお昼ご飯を食べていたとき、なにかの話の中でO君がいつもと違う言葉を発しました。先に書きましたようにO君は上司に合わせて要領よく上司との関係をこなしているのですが、そのO君が僕について「相手の心の中にズケズケ入ってくる」と評しました。確かに、僕は心の中に思っていることを口にすることがあります。僕はOさんの言葉に「なかなか核心をついた言葉だな」と思ったのですが、最後に「羨ましい…」と言っていました。おそらく仕事をしている中で窮屈に感じることがあったのではないか、と想像しています。

そのO君が異動することになり送別会で僕の名前を出しました。「次の異動先では、これまでと違ってmaruyamaさんのようにあけっぴろげな性格に変わりたいと思います」とスピーチしたのです。聞いていた人たちは爆笑でしたが、僕としては褒め言葉か嫌味言葉か判断に悩むところでした。

また来週。







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