<総括・移動販売の人々>




コロッケ屋さんを畳んでから参入した移動販売業でしたが、当初想像していた業界とは全く違っている業界でした。体力には自信がありましたので少しくらい年をとってもできる仕事と思ってはじめました。しかし、業界自体が少し怪しげなところがあり、その原因は「移動販売」という形態に違法性がつきまとっているからです。

おそらくそれは今も変わっていないはずです。さすがに今では駅改口の目の前で屋台を広げる業者はいませんが、駅から少し離れたところではカレンダーや果物を販売している業者がいます。昨年末にも見かけましたが、あの業者の方々は違法もしくはグレーの状態で販売している方々です。

僕は自分が店舗を構えている当時は移動販売業者を意識することは全くありませんでしたが、もし同業の移動販売業者がいたならやはり反発心を持ったはずです。ですが、コロッケ屋時代に豆腐を販売している若い人たちに対しては反発するどころか、「偉いなぁ」と感心をしていたくらいです。あの寒い中をリヤカーを引いて歩くのですから「偉い」以外にありません。マイナス面にまで考えが及ばなかったのです。実に、情けなく恥ずかしい話です。

僕と親しくしてくれた豆腐を販売していた若い人たちが「違法性」に気づく感性があったなら、的確なアドバイスを僕にしてくれたかもしれません。しかし、社会経験のある年齢の重ねた僕でさえ気づかないのですから社会経験の浅い若い人が気づかなくても当然です。そこまで考えが至らなかった僕にこそ問題があります。

そのような業界ですので、基本的に移動販売業界で働いている人たちには注意が必要です。 実際に僕が知り合った人には一般社会で働くには無理がありそうな人がいました。問題をはらんでいる業界で働いていること自体が問題といえなくもありません。もちろん中には真面目に肉体を使って働くことに意義を感じている人もいましたが、販売形態自体が違法な方法ですので間違った努力ということになります。

結局、僕はもら得るべき報酬(8万円強)をもらえずに終わってしまいました。問題のある業界で働いていましたので仕方ないとあきらめています。このような業界ですので若い人にはあまりおすすめできない業界です。

しかし、違法性を取り除くことができるなら成功するかもしれない業界とも言えます。

現在、株式会社USEN-NEXT HOLDINGSの代表取締役社長CEOを務めていらっしゃる宇野康秀氏は元々は人材派遣会社インテリジェンスの創業者です。もしかしましたら今の若い人の間では知られていないのかもしれませんが、ホリエモンさんの一時代前の有名なベンチャー起業家でした。

宇野氏はインテリジェンスを成功させお金も名誉もあったのですが、父親が経営していた有線放送の会社の再建を依頼されます。ですが、最初にやらなければいけなかったことは違法性を除去することでした。

お父さまは電力会社の電柱を勝手に使って有線を敷いていたからです。口で言うのは簡単ですが、違法で行っていたことを正々堂々と適法に変えることの大変さは想像を超えるものがあります。それをやってのけての成功です。宇野氏の経営者としての素晴らしさがわかろうというものです。

話が逸れてしまいましたが、一年のはじまりですので若い人に参考になればと思い紹介いたしました。

移動販売業界で働いていた人たちは一般の社会からはみ出したような人が多かったように思いますが、そのような人を使いこなせる管理職と環境さえ整っているならしっかりと働く人たちです。なにしろリヤカーを引いて声を出して販売することは簡単にできることではありません。

そのような、見ようによっては不器用な人たちが普通に生活できる社会になることを願って今年一年を迎えようと思っています。

また、来週。







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