<二種免許教習所で出会った人々>

先週書きましたように、教習所には近隣の中小規模のタクシー会社で採用された人が集まります。もちろん経歴など知る由もありませんが、見た目とか外見だけでもなんとなくわかるものです。当時僕は20代後半でしたが、20代の人は僕のほかには同じ会社でたまたま一緒に採用された人だけであとは30代から50才代の人たちでした。

その中で印象に残っているのは見た目はヤンキーふうの30代前半の人です。ヤンキーふうというのは少しリーゼント風の髪型だったからですが、体格もガッシリとしており背丈も高く喧嘩をしたら強そうな雰囲気がしていました。しかし、強面な感じはまったくせずいつも明るく笑顔を見せている人でした。

この方をヤンキーと思わせたは外見上だけではありません。ハンドル捌きが抜群にうまかったのです。誰が見ても「うまい!」と感じる腕前でした。

不思議なもので普段ひとりで運転しているときは「スムーズなハンドルさばき」をしている人でも二種免許教習所で指導される状況になりますと、なかなか「思いどおり」に運転できなくなります。特に、普段内掛けハンドル(逆手ハンドルともいいます)をしていますと、その癖が教習所ではマイナスに作用します。実技試験で内掛けハンドルは厳禁ですので二種免許教習所ではそれを修正されるのですが、ほとんどの人ができずに怒鳴られていました。内掛けハンドルのやり方が身体に染みついていて、クロスハンドル(教習所で教わるやり方です)に戻せなくなっているようでした。

ですのでほとんどの人がハンドルさばきに苦労している中でヤンキーふう男性はとても上手なハンドルさばきを見せていました。まるで両手がハンドルに吸い付いているかのようにきれいに両手がハンドルの上を動いていました。しかし、この方でも実技試験は落ちましたので試験という緊張する場面で実力を出すのは難しいものです。その意味で言いますと、4年に1度のオリンピックという緊張の極みといえる場面で実力を出している選手たちは本当にすごいものです。オリンピックと二種免許試験を比べるのは失礼というものですが…。

ちなみに、このヤンキーふう男性は2度目には合格しています。2度目に合格したことを知っているのは仕事を始めてから偶然に会ったからです。やはりたったの2週間とはいえ一緒に学んだという気持ちがありますので親近感が湧きます。この男性のほかにも幾人かには会いましたがやはり懐かしさがこみあげてきました。

50才を超えていた男性もいましたが、この男性は緊張に弱いタイプの人のようでした。教習所での指導のやり方は指導員が助手席に乗り教えてもらう控えの人がうしろの席に2人座る形です。うしろに乗りながら運転している人の運転方法などを見ることで技術を身につけさせるのが目的のようでした。

このようなやり方ですと運転している人は3人から見られることになりますが、それがまた緊張感を高めることになります。ただでさえ指導員が隣に座っていろいろと厳しいことを指摘するので緊張しますが、そのうえにうしろからの視線も浴びることになります。緊張しないほうが不思議という状況となります。

このような状況でしたので50才の男性は指が震えていました。しかもそのことを指導員がわざわざ口頭で指摘しますのでさらに指が震えることになります。しまいには腕全体が震えることになり、全く思い通りにハンドルを動かすことができなくなっていました。結局、練習を後回しにされたのですが、この方とはそれ以降会っていませんので卒業できたのかわかりません。しかし、会社の人の話ではどんなに運転が下手な人でも1ヶ月で二種免許が取得できるそうですから免許だけは取得できたのかもしれません。

皆さん、いざというときのために内掛けハンドルの癖はつけないようにしておきましょう。どんなことも基本をはずさないことが大切です。

また来週。

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