<感じの悪い人2>




今週も、前回に続いて問屋さんで感じの悪い人のお話です。

問屋さんにも食品問屋とそれ以外の問屋さんがいます。食品以外の問屋さんと言いますと、いわゆる資材というものですが、お箸とか容器など食品以外で店舗で使うものです。食品は週に2~3回の発注と決まっていることが多いですが、資材の場合は適宜といった間隔で発注することになります。

ある日、容器を注文しましたところ、いつもと違う人が配達に来ました。いつもは20代前半の真面目そうな感じの痩せた男性でしたが、その日に来た方は30代前半で180センチ近い身長でがっしりとした体格の人でした。髪の毛も長めで配達する人には見えない感じが漂っていました。

男性は「いつもお世話になっております」と通常の挨拶をしたのですが、どこか商売人らしくない雰囲気が出ていました。正しく言いますと、商売をしているのは僕の方で、その男性は問屋さんですから営業ということになります。その男性は営業職の雰囲気を全く感じさせない人でした。

いつも通りに納品書を受け取り、請求書を見て支払いをして、領収書をもらいました。
「いつも来る人はどうしたんですか?」と尋ねますと、
「今日はちょっとお休みしまして…」。

このときの物腰と言いますか、話し方もどこかしら営業職の雰囲気がありませんでした。

男性は「まだお昼ご飯食べていないので食べていきます」とカウンター席に座りました。

ラーメンを待っている間、そして食べている間、特に変わった行動をとることはありませんでしたが、食べ終わるとまるで最初から決めていたかのように話しかけてきました。座ったカウンター席も厨房内にいる僕と話しやすい場所の席でしたので、最初から話しかけるつもりだったようです。

問屋さんで営業職に就いている人の場合は、なにかの話をきっかけに「取り扱い商品を増やしてもらおう」とするのは普通です。ところが、男性は営業職の人が話すような内容ではなかったのです。

例えば、今後の業界のこととか経営者としての心構えとか、やけに高度な話をしてくるのです。話をしているうちに男性の正体がわかってきました。なんとその男性は問屋の社長の息子さんだったのです。つまり、将来の社長ということになります。

そのような運命の元に生まれたことが関係しているのかもしれませんが、話のスケールが大きいのです。ときには問屋業界とは全く関係のないに話まで飛び出してきて、自分の知見の深さ高さを誇示するかのような話ぶりのときもありました。

今ふうに言いますと、意識高い系です。

結局、いかに自分がいろいろなことを知っていて、将来を考えているかを伝えたかっただけのようでした。いったい、目的はなんだったのしょう。それが不思議でなりません。

僕も、油断をしていますと、ついつい自慢話に終始することがありましたので、「人の振り見て我が振り直せ」と自分に言い聞かせたことが思い出されます。

でも、人間の性格ってそんなに簡単に直るもんじゃないですよねぇ。

また、来週。







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする