<タクシーの東京特定指定地域>




前々回に書きましたように、僕がタクシー乗務員になった頃と現在では平均年齢が10才以上高くなっています。おそらく現在タクシー業界に入ってくる人はごく普通の社会人が多いのではないでしょうか。「ごく普通」とは一般的なサラリーマンの経験がある人という意味です。50才~55才くらいで一般の会社を退職した人が再就職先としてタクシー業界を選んでいるように思います。このようなパターンが多いので平均年齢が高くなってしまいます。

現在のタクシー業界の実態を知りませんのでなんとも言えませんが、僕が在職していた当時よりは働く環境が整っているように思います。その根拠は女性乗務員が増えていることと求人広告の内容が「柔軟な勤務形態」をアピールしているからです。

一時期マスコミで報じられていましたが、タクシー乗務員のお給料が低くなったことが問題視されていました。タクシーを利用する人が減っていることが理由ですが、それとともにタクシーの台数が増えていることも大きな要因です。タクシー乗務員のお給料は歩合制ですので売上げが少なければお給料も減ることになります。そうした給与形態も相まってマスコミで頻繁に報じられていました。

ですが、今の時代に極端に高いお給料を求めるのではなく「そこそこでいい」という考えの人ならタクシー乗務員は理想的な職場のはずです。これはあくまで僕の推測でしかありませんが、下手なブラック企業で働くならタクシー乗務員のほうが働きやすい職場のように想像しています。その際にタクシー会社の選び方はとても重要です。それを間違えますとプレッシャーばかりを感じることになり「働きやすい職場」ではなくなりますので注意が必要です。

そこで理想的なタクシー会社の選び方を紹介します。と書きながら、本来こちらのエッセイは「僕が出会った人」を書くコーナーですので趣旨とはちょっと外れている感じはしますが、勢いでこのまま続けることにします。

まず、僕の考えの根本にあるのはお給料が「そこそこでいい」ということが前提であることをご留意ください。

東京のタクシー業界は5つの営業区域が決められていますが、その中で一番稼げるのは「東京特定指定地域(特別区、武蔵野市及び三鷹市)」です。因みに、ここ以外には立川市や府中市、昭島市、武蔵村山氏などの北多摩交通圏、八王子市や日野市、稲城市、町田市の南多摩交通圏、そのほかに西多摩交通圏、島嶼区域があります。

プレッシャーに追い込まれることもなく自分のペースでタクシー乗務員をしたいなら、これらの営業区域の中で一番稼げる「東京特定指定地域(特別区、武蔵野市及び三鷹市)」を選ばないことです。少し違う話をしますが、昔からのビジネスの格言に「釣りは魚のいるところでやれ」というものがあります。どんな優れた商品やサービスでも利用するお客様がいなければ宝の持ち腐れになることを教えている格言です。

その意味で言いますと、人が最も多い「東京特定指定地域(特別区、武蔵野市及び三鷹市)」は売上げを作るには理想的な地域です。ですが、このような環境は競争が激しいことの裏返しでもあります。そして、そのような地域を好むタクシー会社というのはそれなりにプレッシャーを従業員に与える傾向があります。売上げ至上主義の風潮が強い会社が好んでこうした地域に参入するはずです。しかし、働く側にしてみますと大変です。

ですので、「東京特定指定地域(特別区、武蔵野市及び三鷹市)」以外の地域でコツコツ働くのがコツです(シャレです)。人が少ないのですから流しても意味がありません。ですので自ずと競争が激しくなるようなことはなく駅待ちなどで順番にお客様を乗せることで売上げを作ります。おそらく真面目にコツコツやるならブラック企業のようにサービス残業などに苦しめられることもないでしょう。

「東京特定指定地域(特別区、武蔵野市及び三鷹市)」以外のタクシー乗務員は中高年の転職先としては穴場です。

来週は「出会った人」を書きたいと思います。







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