<クリーニングチェーンの営業部長>




ラーメン店を廃業したあと、数年後にコロッケ屋さんをはじめるのですが、実はコロッケ屋さんに決める際にほかの業種も調べていました。基本はお店を構えることですが、ラーメン店のように内装にお金をかける業種は除けて考えていました。

もちろん理由は開業資金をできるだけ少なくするためです。やはりラーメン店ですと少なくとも数百万円はかかってしまいます。そこで浮かび上がったのがクリーニングチェーン店でした。僕が基本に考えていたのは「あまり目立たないけど、そこそこ儲かる商売」です。それがクリーニングチェーンでした。

クリーニングチェーンは取次店ですので利益率が低いのは予想できました。しかし、街中の取次店を見ていますと、そこそこ続いているのです。食べ物ではありませんが、定期的に利用するものですので「行きわたる」ということはありません。つまり、需要がなくなることがない業種です。

あと一つ僕が基本に考えていたのは「クレームに対応できる業種」です。ラーメン店の経験がありましたので、「クレーム対応がいかに重要か」を身を持って感じていました。その意味においてもクリーニングチェーンは理想に適っていました。なぜなら、クリーニングチェーンはクレームに対しては本部で対処してくれるからです。

そこで、求人広告に載っていたチェーン店に問い合わせをしましたところ、担当の方が説明に来ることになりました。当日、やってきた方の車はセダンの高級車に属する車種で、担当の方は30代後半のおしゃれなスーツを着た男性の方でした。

この時点で僕からしますと、評価は10満点で5点です。まず、営業に来るときは業務用の軽自動車くらいの大きさで来るのが常識です。さらに、遊びではなく仕事で来るのですから、訪問時は業務用の服装で来るのが一般的です。クリーニングチェーンであるなら、せめて上着だけでも作業服で来るべきです。お客様に好印象を感じてもらうのが最も大切だからです。

その意味で言いますと、おしゃれな服装でかっこいい車でやって来る方がきちんとした仕事をするとは思えませんでした。

その後、僕が探して来た店舗の内装工事の見積もりをお願いすることになりました。お店の前で待ち合わせたのですが、その日はちょうど雨が降っていました。僕が先に着いており、しばらくして担当の方が工事業者の方と一緒にやってきました。

挨拶をして、不動産の方がカギを開けるまでちょっと時間がかかったのですが、その間ずっと雨に濡れながら待つ状況になりました。そのときに、傘を手にしていたのは担当の方だけだったのですが、なんと担当の方は僕ではなく工事業者の方が濡れないように傘をさしていたのです。つまり、僕は待っている間中、雨に濡れることになりました。

この状況は、チェーン本部が「加盟店と工事業者のどちらを大切に考えているか」がわかる場面でした。僕がこのチェーン店を断ったのは言うまでもありません。

現在、コンビニ本部が加盟店と営業時間や値引きなど様々な契約に関して揉めていますが、契約前に本部の姿勢を知ることが最も大切です。表面的なことだけではなく実際に加盟店をどのように思っているのかを見抜くことが重要です。そこを見誤りますと、最悪の場合奴隷契約となることもあります。

その意味で言いますと、わかりやすい判断材料を提供してくれた担当の方に感謝すべきなのかもしれません。

また来週。







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