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組織に属していますと、上司と言いますか「頭の上がらない人」という人がいるものです。特に会社などでは自らの地位は上の役職の人に握られているわけですから、どうしてもそのような人は存在することになります。

現在、日産ではゴーン元会長が起訴されていますが、外から眺めていますと権力闘争の一面があるようにも映ります。おそらく現在の西川社長はゴーン氏が在任中は頭が上がらなかったのではないでしょうか。ゴーン氏の起訴内容は「違法に会社から自分の利益を得ていた」ことですが、それを防げなかったのも上司だからという理由で忠告できなかったからです。もし、左遷を恐れずに忠告していたならもっと違う展開になっていたかもしれません。

現在読売新聞グループのドンはナベツネさんこと渡辺恒雄さんですが、テレビ画面に出てくるナベツネさんはいつもふてぶてしい振る舞いをしています。傲岸不遜を絵にかいたような人ですが、そのナベツネさんが姿勢を正して頭を垂れている姿を見たことがあります。

その相手は車いすに乗ったやせ細った老人でしたが、眼光だけは凄みがあり周りを圧倒する迫力がありました。その老人とは小林与三次氏という方ですが、元は官僚で社主である正力松太郎氏の娘婿でした。ナベツネさんはと言えば元々は一社会部の記者に過ぎませんので力関係が全く違います。

現在、読売新聞グループで権勢を誇っているナベツネさんですが、そのナベツネさんが直立不動の姿勢をとっている光景が今でも頭に残っています。

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僕が清掃を請け負っていた大学で教授会と理事長の間に対立があったそうで、かつて政治家だった方が理事長に就任することになりました。その方は元々レスリング選手でしたので背が高く体格も立派な方でした。その方がナベツネさんと同じように車いすに乗った老人の前で直立不動の姿勢で立っていました。かつて政治家になった人でも頭が上がらない人がいるのだぁと驚いた次第です。

そんな光景を見てからしばらくして僕が所属している管理会社と大学の契約が更新されないことが決まりました。普通に考えて、理事長が変わったことで下請けの管理会社も変わったと見るのが妥当なところでしょう。その影響が一番下っ端の企業に及んだことになります。

ある日、休憩時間に女性責任者が「重要な話があります」とA4の用紙を配布しました。中には、年度末で作業員との契約を解除する旨が書いてありました。この会社が作業員と雇用契約ではなく請負契約にしていたのはこれが理由です。つまり、大学との契約が切れたあとに従業員としていては対処できないからです。

現在、巷では個人事業主とかフリーランスという働き方の是非が物議を醸していますが、業種によってはそのような契約しかできない場合もあります。今回のケースはまさにそれに当てはまる状況でした。

契約が切れることが決まってから、館内のいろいろなところでスーツ姿の男性を複数人見かけるようになりました。しかもお昼時間になりますと、作業員の休憩室の近くの部屋に集まっているようです。そして、僕たちと出会うときはいつも明るく挨拶をしてきました。

新しく契約を勝ち取った管理会社の人たちです。引継ぎのために館内を調査しているのでした。僕たちは引継ぎが完了するまで、その人たちと行動をともにすることになりました。

また、来週。







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