<地下室の人々>




先週、先々週と「ふいに」思い出したユニクロの人を書きましたので、時系列的には戻ることになってしまいました。今週より本来の展開に戻りますが、3週間ぶりですので少しおさらいをします。

前回はリヤカー販売に見切りをつけたあと、清掃の仕事を見つけ面接に合格し、先輩方が休憩しているところへ向かうまでのお話を書きました。
では、はじまりはじまり~。

今週のタイトルは映画のような感じがしますが、なぜなら清掃従業員の方々が休憩している部屋が地下にあったからです。清掃責任者の方は休憩所に行く前に、「この大学の管理を請け負っている会社の責任者に挨拶に行きましょう」と言って管理会社が入っている棟の一室に向かいました。もちろん、そこは地下室ではなくドアも大きく窓も大きく室内も広く、そして制服を着た多くの人が働いている部屋でした。

僕が採用された会社はこの管理会社の下請けです。ちなみに、僕の就業形態は雇用ではなく請負形態です。普通のパートさんやアルバイトさんではなく、もちろん社員でもなく個人として仕事を請け負っていることになります。普通の従業員との違いは「雇用保険がない」といったらわかりやすいでしょうか。

しかし、実態は時間で拘束されていますし、日給制ですし、普通の従業員と変わらない働き方です。ですが、正規従業員ではありませんので年金はもちろん健康保険もありませんし所得税も自分で納める必要があります。本来ですと、このような就業形態は働く側にしますと不利な形態ですが、僕からしますと会社に縛られる感覚がなく好ましい働き方と思っていました。

清掃会社がなぜこのような形式をとっているかと言いますと、最後は実際にそうなるのですが、従業員を雇用する際に発生するコストが必要ないことはもちろんですが、それよりも管理会社もしくは清掃会社が大学からいつ仕事を打ち切られるかわからないからです。責任者もあまり理解していないようでしたが、数年ごとに大学と契約を更新して業務を請け負っていたと思われます。

ですから契約更新ができなかった場合、働いている人たちが余ることになります。普通の従業員の身分ですと、「職場がなくなったから」と言って簡単に解雇するわけにはいきません。そのような事態を避けるために請負という形式にしていたようです。

管理会社の担当者に挨拶を終え、清掃責任者のあとについて歩いていたのですが、廊下が長いことに驚かされました。優に50メートルはあるでしょうか。自分も学生だったときは大学の構内を歩いていたはずですが、遠い記憶の彼方です。すっかり記憶がなくなっていました。

地下室への階段を下り、2メートルほどの廊下に突き当り、その廊下を右に数メートル進んだところに清掃従業員の休憩所はありました。

責任者がノックをしてドアを開けると、先に中に入り僕を促しました。僕は腰を曲げながら中に入り頭を軽く下げました。頭を上げますと、するといっせいに僕に視線が注がれました。そこには十数人の女性たちが畳に座っていました。あとからわかるのですが、全員が女性ではなく十数人の中に男性も3名ほど入っていました。しかし、残りは全員女性です。ただし、女性と言いましても中高年です。中高年と言いましても高年に近い方の中高年の群れでした。

これまでずっと個人事業主で働いてきましたので、赤の他人と一緒に働くのは久しぶりです。しかも異性がほとんどですので、やはり緊張します。ある意味、女性のほうが意地悪な人が多いように感じていますが、それは毎日妻と顔を合わせているせいかもしれません。

それはともかく、僕の新しい職場がはじまります。

また、来週。







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