<フランチャイズでない独立>

飲食店は「立地が命」です。これは商売をするうえでずっと昔から言われてきた箴言ですが、その箴言を覆したのが大戸屋と言われています。これまで2階で飲食店を成功させるのは不可能と言われていたことを大戸屋さんが成功させたからでした。当時大戸屋さんが2階に新規オープンして成功したとき業界ではかなり驚きの声が上がりました。

しかし、大戸屋さんが成功したのはあくまでチェーン展開をするほどの規模があったからです。個人が細々と一店舗で営業する場合はやはり「立地が命」です。その意味で僕は最良のお店を手に入れたわけですが、家主さんの思わぬ対応で退出することになりました。

実際、コロッケ店の売上は予想したとおり順調でした。1日3万円以上の売上があり粗利が5割以上、そして経費は10万円以下でしたのでそこそこの利益が出ていました。わずか2坪の売り場面積でこの数字は決して悪い数字ではありません。この数字を考えるときに最も大切なことは本部へ支払うべきロイヤリティがなくなったことです。

前回書きましたように本部が倒産したからですが、想定していたとはいえこれほど早く状況が展開することまでは考えていませんでした。ですが、将来ロイヤリティがなくなることを見越してのフランチャイズ加盟でしたので願いがかなったことになります。やはりロイヤリティがあるのとないのとでは、売上げに限界のあるコロッケ店販売にとっては利益に対する影響はとても大きなものがありました。

ラーメン店時代に比べますと労働時間はとても短くなっていますし、経費も減っていますので独立する姿としては理想的でした。そもそも最初から大きな利益を期待してはじめたのではなく、そこそこの利益で長く続けられる営業形態を求めていました。

しかし、個人経営ではなくフランチャイズに加盟してのこの数字ではかなりきついものがあります。理由は手元に残る利益がロイヤリティを払う分だけ減るからです。ロイヤリティというものほど独立した人を苦しめるものはありません。もし、ロイヤリティを支払う方式で独立を考えている人がいましたら再考したほうが賢明です。

ほんの少し考えればすぐにわかるはずです。あなたが儲かる方法を思いついたとき、その方法をほかの人に教えますか? 絶対に自分ひとりでこっそりと儲けようとするはずです。しかし、フランチャイズの本部は「成功するノウハウを提供する」として加盟店になることを勧めます。「成功」を「経営」に置き換えていることもありますが、どちらにしましても矛盾があります。冷静に考えましょう。

本来このコーナーは「あんな人」を紹介するものでしたが、今回は話が逸れてしまいました。「あんな人」に話を戻します。

テキストにも書いていますが、どんなお店でも固定客はつくものです。僕がコロッケ店を選んだのは同じ飲食業でありながらテイクアウト形式だったからです。イートイン形式ではお客様との接し方にかなり神経を使う必要がありましたが、テイクアウト形式は「とても楽」と言いますと語弊がありますが、気苦労が少なくなったのは間違いのないところです。

もちろんだからと言って「気を抜いてよい」ということはありません。その点は飲食業の宿命ですが、お客様の気持ちを察する感性は常に鋭くしておく必要はあります。それはお客様が子供であっても同様です。

開店して1か月を過ぎた頃から同じ男の子が頻繁に来店するようになりました。購入することが目的ではなく「ちょっかいを出す」ことが目的です。相手が子供であるだけに接し方はとても微妙です。甘く接していますとつけあがりますし(笑)、厳しくしたりぞんざいに接していますと店の評判が悪くなることも考えられます。

ある日、ついにその男の子が店のドアを勝手に開けて店内に入ってきました。僕たちは午後の2時から3時までお昼休憩をとっていたのですが、その時間は売り場の窓のシャッターを閉めていました。僕たちに話しかけられないことが不満で、ドアを勝手に開けて入ってきたようです。さすがに困りました。

つづきは来週。

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