<コロッケ屋さん本部の人>




さて、タクシー会社で出会った人たちも一応ひと段落しました。次はいつの時代の「あんな人」を書こうかと悩んだ末にコロッケ屋さん時代の「あんな人」について書くことにしました。

コロッケ屋さん時代については「脱サラ・独立・フランチャイズ考」(もう1つのFC加盟)で少し書いているのですが、細かなことまでは書いていません。ですので、今回改めて細かい内容にまで踏み込んで書こうと思います。そして、最終的にはラーメン屋さんのような「テキストにしたいな」と思っています。

それでははじまり、はじまり…。

僕がコロッケ屋さんをはじめようと思ったのは50才のときです。それまで保険代理業を営んでいましたが、保険業界について知れば知るほど自らのポリシーに反するように感じていました。ですので、ちょうど50才という節目の年齢になったときに転業することにしました。

なぜコロッケ屋さんかと言いますと、あまり資金がかからずテイクアウトの業種だったからです。ラーメン屋さんがイートインの業種でしたのでテイクアウトの業種を経験してみたい気持ちがありました。ただし規模的に考えて、ラーメン店のような収入を期待していたわけではありませんが、「長く営業したい」と考えていました。正確に言いますと「営業したい」というよりは「営業できなければならない」という強い思い入れのようなものを持っていました。しかし、現実は甘くありませんでしたが…。

コロッケ店のFC本部に電話をして契約する顛末については「もう1つのFC加盟」で書いていますのでその先の出来事について書きます。

もう一度飲食業をはじめようと思った僕ですが、その僕がこの本部を選んだのは本部が直営している店舗を譲り受ける契約だったからです。しかもその場所の立地環境が素晴らしくよいものでした。幹線道路が交差した角地でなにもしなくても目立つ場所でした。飲食業の売上げを決めるのは立地環境です。その意味において理想的な立地環境でした。

その場所で僕はリニューアルで開業することになりました。開店日初日にお店に行きますと本部から5~6人の応援の人が来ていました。この中のリーダー的存在のBさんは年の頃30代半ばの働き盛りといった感じのビジネスマンでした。

僕はコンサルタントの人と直接話したことはありませんが、話口調が自信に満ち溢れていて「選択を迫る」特徴がありました。例えば、開店直前の時間になってこのように言ってきました。

「もうすぐ開店なんですけど、今ひとつ宣伝が弱いような気がします。人員をチラシを配布するのに振り向けるのとここで声を出して通行人に呼び掛けるのとどちらを希望しますか?」

です。僕は愚問だと思いましたが、一応「今更チラシを配っても効果が薄いのでこの場所で呼びかけをお願いします」と答えました。僕の想像ではこのBさんはコンサルタント業の経験があるように感じました。上から目線で話をまとめたがる癖があったからです。このBさんとは本部が倒産する直前に電話でお話する機会があったのですが、そのときはやけに腰が低い話し方だったのが印象的でした。

実は、本部の方々は倒産する1~2ヶ月前から給料が遅配になっていたようです。そうしたことも影響しているのかもしれません。おそらく本部の人たちは倒産したあとはコンビニなど同じFCを展開している企業のスーパーバイザーの仕事に就いているように想像しています。しかし、コロッケ屋さんの本部は規模が小さく自分の思い通りに振舞っていられたはずです。それに比べますと、コンビニなどは規模が大きく社員もたくさんいますので人間関係も大変なはずです。また、加盟店を管理するという仕事内容においてもコロッケ屋さんとコンビニでは厳しさが違うはずです。

ある企業でリーダー的な立場だった人がその企業が倒産したことが理由で転職したときは立場が変わったことを受け入れるのに時間がかかるものです。人間には知らず知らずのうちにプライドというやっかいなものが身につくからです。

また、来週。







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