<野球部の人々>

根っからのスポーツ好きの僕でしたので仕事に余裕が出てきますと身体がウズウズするようになってきました。先輩社員の人たちとも少しずつ顔見知りになり、しかも僕は年齢がかなり若いほうですので皆さんが声をかけてくれます。

ある日、清算業務を終えて僕より1才若い同僚とコーヒーを飲みながら談笑をしていますと45才くらいの社員さんが声をかけてきました。

「なぁ、野球なんか興味ない?」

身体がウズウズしていた僕はもちろん「あります」と答えました。しかし、1才若い同僚はあまり興味がなかったようです。結局、僕ひとりで野球部の練習に参加することになり、練習が始まるまで2階で仮眠をとることになりました。以前書きましたが、2階の大広間で布団を敷いて寝ることにしました。

野球部は総勢20人弱の部員がいました。ちょうど僕が入部した日は僕のほかに30代半ばのHさんという方も初参加でした。野球部に入部するくらいですから野球にそこそこの自信を持っているような方でした。

練習はランニングやらキャッチボールやらといった基本的なことから始まり、具体的な練習に移っていきましたが、その一つにフリー打撃というものがあります。プロ野球などでもよく見かける練習ですが、ピッチャーが投げたボールをただひたすら打つだけのシンプルな練習です。

本来、この練習は打つことが目的ですのでピッチャーが投げたボールに対して思いっきりフルスイングをして打つのが普通です。もちろんピッチャーは打者が打ちやすいボールを投げます。このようにして練習をするのですが、腕に自信のある人というか野球に慣れている人は最初から打ち始めるのではなく最初はバントの練習から入ることが多くあります。僕の経験では、腕に自信がある人はほぼ全員がバントから入っていました。Hさんもバントから入ったのですが、先輩たちが「こいつアピールしてるな」と冷ややかな視線を送っていたのが印象的でした。

実は僕も少々腕に自信があったのですが、Hさんのバントに先輩方が冷ややかな視線を送っていたのに気がつきましたのでバントはしませんでした。しかし、やはり野球部で活躍するには最初が肝心です。なにかしらアピールするものがないと存在感が薄くなってしまいます。そこで、僕が行ったアピールは剛速球を投げることでした。

僕は小さい頃、父とよくキャッチボールをしていたのですが、その際は田んぼの端から端まで投げ合っていました。おそらくそれがいい練習になっていたようで小学校に上がってから遠投ではいつも一番でした。つまり速いボールも投げられるということになります。さらに高校時代は厳しい練習をすることで有名な運動部に入っていましたので肉体も鍛えられました。そうした経験がありましたので僕は普通の人よりもかなり速いボールを投げられるようになっていました。スーパー時代に社内対抗野球大会でピッチャーを仰せつかったのも剛速球が投げられたからです。

キャッチボールのときから少しずつ本気で投げるようにして、守備練習ではショートを守ったのですが、一塁への送球は矢のような剛速球で投げました。もちろん先輩方が僕の送球を見て一目を置いたのは言うまでもありません。僕の作戦は大成功したしたことになります。その証拠に練習後の集まりでキャプテンから肩の良さをほめてもらいました。

なんか今週は自慢話に終始してしまったようで恐縮ですが、野球部に入ったことで一気に社内の人間関係やら派閥について知ることができました。会社の営業部は3つの班に分かれているのですが、野球部も実は2つあり、その班が影響しているようでした。僕が入部した野球部は僕が所属していた班の班長さんがキャプテンを務めていました。このような人間関係ができたことはその後の仕事にも好影響を与えていたように思います。仕事って究極的には人間関係が重要ですよね。

話は逸れますが、僕が働いていたタクシー会社の創業者は元読売巨人軍の選手だった方のようでした。確か、選手時代の写真も見せてもらったような記憶がありますが、そうしたことも影響して野球部は優遇されていたように思います。

また来週。

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