<表も裏も真面目な人>




スーパー時代の僕の直属の上司は主任という役職でしたが、その上にいるのが係長という役職名です。最初のお店の係長のお話は以前お話しました。今回は2店目3店目での係長のお話です。

異動した2店目の係長は会社では変わり者として有名だったYさんという方でした。「変わり者」を象徴していたのが外見で、なんとパンチパーマをかけていました。普通の感覚でいうなら、サラリーマンでパンチパーマをかけている人はあまりいません。この外見で想像がつくと思いますが、上司の評価など気にせずマイペースで働く人です。世の中には「上司の評価ばかりを気にする」いわゆる「ゴマすり」でビジネス社会を生き延びていこうとする人がいますが、正反対の人でした。

年齢は45才でしたが係長にしては年を取っているほうです。その理由はおそらくパンチパーマにあったように思います。上司の評価を気にする人ではありませんでしたが、仕事はきっちりとする人だったようで売上げは常に全店の中でも上位に入っていました。直属の上司である主任の話では「売上げを作るコツを知っている」とのことでした。毎週1回の主任会議では必ず各部門に的確な指示を出していたそうです。

このように豪快なY係長でしたが、人当たりは優しく僕のような下っ端の人間にも横柄な態度で接するようなことはなく、いつも笑顔で接っしてくれていました。

Y係長は僕が異動してから4ヶ月くらいで異動になったのですが、代わりにやってきたのがS係長でした。S係長も年齢は33才と若かったのですが「やり手」と評判があった人でした。S係長を一言で表しますと、「真面目」です。Y係長のような豪快さはありませんが、誰に対しても平等で公平に接する人でした。外見は目玉が大きく鼻筋が取っていて髪の毛は七三に分けており中肉中背でガッシリした体格をしていました。

僕は帰りの電車が同じでしたので退社時間が同じときは一緒に帰っていました。僕はいつも手ぶらでしたが、S係長は真ん中が膨らむほどいろいろな書類を詰めた大きめのビジネスバッグを持っていたのが印象に残っています。あのバッグを見るだけで真面目さが伝わってきました。

S係長で一番記憶に残っているのは会社で最も恐いと評判の役員が見回りに来たときのことです。この役員は会社の創業時から社長とともに発展に尽力していた方で、しかも「泣く子も黙る」というほど大きな怒鳴り声でしかりつけることで有名な方でした。そんな役員が見回りに来るのですから店長以下お店の偉い人たちは全員、用事を作ってお店からいなくなってしまったのです。

そのときに対応していたのがS係長でした。お店には店長の下に副店長1名、、そして係長が各フロアに一人ずつで3名いたのですが、誰か一人が役員と一緒に店内を見回る必要がありました。全員がその役から逃げたのですが、そんな中で対応したのがS係長でした。そうしたところを僕は尊敬していました。

僕はその役員をそのときに初めて見たのですが、外見からして強面で部下の人たちが全員恐れてしまうオーラが出ている人でした。そうであるだけにS係長の真面目で勇気のある態度がとても偉く思えました。

会社員はどんなに業績が素晴らしくとも、評価においては最後は上司の個人的な感性に委ねる部分があります。上司から認められませんと、出世できないのが会社員の宿命です。そうした環境の中で自分を見失わず、それでいてゴマをすることもなく、さらにそこそこ社内での成績を残すのは簡単なことではありません。その意味で言いますと、僕がそれまでに出会った係長たちは全員素晴らしい人たちでした。

ですが、3店目にいかにもサラリーマンらしいサラリーマンに出会うことになります。その方はI係長という方ですが、僕が異動が決まってから聞いた噂では「カツラー」ということでした。

次回をお楽しみに。。。







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