<タクシー業界の人々>

一般的に、タクシー乗務員という職業に就いている人はいろいろな経験をしていると思われています。理由の一番目に挙げられるのは転職してきた人がほとんどだからです。新卒で入社する人はほとんどいません。厚労省の発表では2015年時点で平均年齢が59才となっていました。僕が働いていた当時平均年齢は45才でしたので14才も高齢化したことになります。

この理由を考えますと、タクシー乗務員以外の働き口が僕の頃よりも増えていることかもしれません。僕がタクシー業界に入ったとき27才でしたが、35才の先輩が「このくらいの年齢である程度稼ごうと思ったらタクシーくらいしかないよね」と話していました。乗務員が何人いる会社か覚えていませんが、少なくとも100人くらいはいたように思います。その中で20代は3人しかいませんでした。

あとで登場しますが、一番変わった働き方をしていたのは「出稼ぎドライバー」がいたことです。県名は忘れてしまいましたが、東北地方の40代半ばの方が冬の間だけタクシー乗務員として働いていました。冬は農作業がお休みになりますので出稼ぎに来るわけです。全く予想もしないことでした。僕が出会った時は既に6~7年経験があるようでしたので新人という立場ではありませんでした。休憩所などので振る舞いも堂々としていてベテランの域に入っていました。僕の会社には出稼ぎの方はその方しかいませんでしたが、もしかしたならほかの会社も含めるとそれなりの人数がいるかもしれません。

タクシー乗務員時代については「私のココロ」でも少し書いていますが、このエッセイではもう少し詳しく書きたいと思います。本当にいろいろな人がいましたので楽しい経験をしました。同僚の方々もそうですが、お客様にもいろいろな人がいましたので稀有な経験をしたことになります。

一時有名な作家の息子さんがタクシー乗務員の体験をカリスマドライバーとして本にして出版したことがあります。覚えている方もいらっしゃるでしょう。その本の一番の趣旨は「タクシー乗務員は儲かる」ということを訴えることです。ですが、こうした例はあくまで特殊です。ほとんどの乗務員さんは売上げを作るために苦労しています。

タクシーの売上げを作るのが簡単ではないのは少しシミュレーションをするだけでわかります。例えば、一千万稼ぐと言う人がいる場合細かくチェックするなら信ぴょう性がはっきりします。

タクシーの勤務体系はほとんどの会社で24時間拘束です。ですから、日数で言うなら12日か13日ということになります。一千万円を12日で割りますと一日当たり83万円の売上げが必要になります。24時間拘束ですが、休憩時間もありますので実際は20時間くらいでしょうか。83万円を20時間で割りますと1時間あたり4万円強という計算になります。これをさらに細かく計算しますと、30分で2万円以上です。これがどれだけ不可能であるか素人の人でも想像がつきます。タクシー乗務員は大変です。

そもそも論になりますが、本当に儲かるなら平均年齢がもっと下がっておかしくありません。僕はいろいろな職業を経験していますが、働き者でない人もいましたがものすごく働く人もいました。このような人は少しどころかすごい苦労もいとわない人たちですのでタクシー乗務員の大変さなどへの河童のはずです。

こうしたことから総合的に考えますと、やはり最後に行きつく職場という位置づけになりそうです。これが平均年齢59才の理由です。ですが、実は最近女性のタクシー乗務員を見かけることが多くなっています。これは普通にスーパーやコンビニなどで働くよりも割がいい証拠かもしれません。ですから、とんでもない収入ではなく一般のパートよりは楽に稼げる仕事という発想でタクシー乗務員を考えるなら理想的な仕事と言えるかもしれません。

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